


ヨーロッパの原子力事情
-温暖化防止と原子力の活用が鍵-
原子力施設の立地道県で組織する原子力発電関係団体協議会は、昨年9月1日から9日にかけて、ドイツ、ベルギー、スウェーデンの三カ国で原子力海外事情調査を行いました。
本県から参加した県原子力安全対策課岩永幹夫参事が、ヨーロッパの原子力事情を報告します。

調査団は、三カ国の政府と原子力研究機関、原子力発電所を訪問し、原子力発電の役割や、MOX燃料の利用と使用済燃料の処分、廃止措置の研究や放射性廃棄物処分への取組みなどを調査しました。
欧州においても、地球温暖化防止への取組みは非常に重要な課題であり、水力やバイオマス燃料等の活用(スウェーデン)や、積極的な省エネルギーの推進(ベルギー)、
自然エネルギーの活用と炭素の含有量が少ない石炭の利用(ドイツ)等、様々な取組みを進めています。
原子力政策では、過去の国民投票や、各国の連立政権によって、原子力発電所の段階的な閉鎖や運転期間に制限を加える決定がなされています。しかし、原子力発電の廃止に伴う代替電源の確保に見通しが立たないことや、各国での総選挙等により、これらの決定が見直されることもあるとの意見が聞かれました。
ベルギーやスウェーデンでは、原子力発電による発電量を増加させることで二酸化炭素の排出量抑制に努めています。例えば、スウェーデンのオスカーシャム3号機では、1985年運転開始時の電気出力は105万KWでしたが、4年後には120万KWに、さらに2008年には145万KWに増加させる計画で、設備改造や安全性の検討を詳細に進めています。
発電所の運転期間についても、ベルギーでは個別号機ごとに、12カ月、15カ月、18カ月と設定されています。
三カ国とも、現在は使用済燃料の再処理を行っていませんが、原子力利用を開始した当初、再処理を行っており、この再処理で発生したプルトニウムは、MOX燃料として利用(プルサーマル)しています。ベルギーのドール発電所3号機では、1995年から2005年までに88体利用しており、その間、発電所の運転管理や燃料の取扱は安全に行われています。
スウェーデンでは、使用済燃料をそのまま最終処分する方針で、現在は、国内で発生する使用済燃料を集中貯蔵するための施設(地下約32mの岩盤の中にある巨大な貯蔵プール)で、使用済燃料約2万5千体が保管されていました。
また、各国とも放射性廃棄物の最終処分場の立地には、自治体の意向を尊重することが重要と考え、住民自らによるセミナーの開催や、技術的な疑問に対する丁寧な説明など、国や原子力機関が支援して継続的な理解活動に努めているとの説明がありました。

原子力発電所の廃止措置研究施設(ベルギー:BR-3)
各国とも、原子力利用の展望に不透明なところはありますが、発電所閉鎖後の廃止措置や、放射性廃棄物の処理・処分技術、革新型原子炉の開発など、今後とも優秀な原子力技術者の確保が重要と、日本の現状と同じ状況でした。
最後に、猛暑が続く日本から飛び立ち、最初の訪問先であるドイツでは、防寒着が必要なほど寒い日が続くなど、ヨーロッパでの異常気象を実感する旅でもありました。
